柊っていう

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ミステリーが九割。Webデザインの仕事をしながら読書とゲームと漫画を嗜む日々。

【5選】おすすめしたい森博嗣のシリーズ小説

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おすすめしたい森博嗣のシリーズ小説

   森博嗣さんの小説といえば「理系ミステリー」が有名。最近ではドラマやアニメになったこともあり、今まで森博嗣さんの小説を読んだことの方も物語に触れる機会はあったのではないでしょうか。
   今回は、まだ森博嗣さんの小説を読んだことのない方。またはどの作品、どのシリーズから読めばいいの?となかなか手を出せずにいる方に、「これだけは押さえておきたい」と強くおすすめする作品とシリーズをご紹介します。
   森博嗣さんの著書はめちゃくちゃ多いです。その上多くのシリーズが別のシリーズに繋がっていることなどざらにあります。そういった、シリーズ繋がりがあるという事前知識をお持ちの方は、順に読もうと思うとどうしてもどれから読もうか迷ってしまうかと思います。
   今回ご紹介するのは全てシリーズ一作目。尚且つ全て繋がりのある小説をご紹介致します。何から読もうか迷っている方は、是非参考にして下さい。

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すべてがFになる

孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人に挑む。新しい形の本格ミステリィ登場。

   第一回メフィスト賞受賞作。【S&Mシリーズ】テレビドラマ化、アニメ化もした森博嗣さんのデビュー作にして代表作の一つです。
   この一冊で森博嗣さんがどういった物語を書く方なのかがわかると思います。また、この作品から過去・未来・めちゃくちゃ未来まで様々なシリーズで書かれています。
   S&Mシリーズは全十作で構成され、主人公は建築学助教授の犀川創平建築学科学生の西之園萌絵の二人。「理系ミステリー」としての面白さは勿論のことながら、この二人の事件解決までのやり取りやシリーズ通しての関係性の進展が物凄くいいんです。これは読まなければわからない。
   森博嗣さんの世界観を知るには、まず「すべてがFになる」から読んでみて下さい。

すべてがFになる The Perfect Insider
冷たい密室と博士たち Doctors in Isolated Room
笑わない数学者 Mathematical Goodbye
詩的私的ジャック Jack the Poetical Private
封印再度 Who Inside
幻惑の死と使途 Illusion Acts Like Magic
夏のレプリカ Replaceable Summer
今はもうない Switch Back
数奇にして模型 Numerical Models
有限と微小のパン The Perfect Outsider

φは壊れたね

その死体は、Yの字に吊られていた。背中に作りものの翼をつけて。部屋は密室状態。さらに死体発見の一部始終が、ビデオで録画されていた。タイトルは「Φ(ファイ)は壊れたね」。これは挑戦なのか? N大のスーパ大学院生、西之園萌絵が、山吹ら学生たちと、事件解明に挑む。

   タイトルにギリシャ文字が使われている【Gシリーズ】
   あらすじの通り、すべてがFになるから始まる【S&M】シリーズの主人公である西之園萌絵が登場します。当然犀川先生も。
   いくらか年月が過ぎ、立場が変わり、今物語では犀川や西之園だけではなく後輩である学生達と謎を解いて行きます。【S&M】シリーズでは事件と聞けば飛びついて犀川を困らせたりしていましたが、今回は後輩を導く役割を担っています。【S&M】シリーズを読んでからこのシリーズを読む方は、読んでない方よりも二倍楽しめるでしょう。
   シリーズ通して事件の中に潜む真賀田四季という天才の存在を、「すべてがFになる」を読んで作品のファンになった方は追わずにはいられない筈です。

φは壊れたね PATH CONNECTED φ BROKE
θは遊んでくれたよ ANOTHER PLAYMATE θ
τになるまで待って PLEASE STAY UNTIL τ
εに誓って SWEARING ON SOLEMN ε
λに歯がない λ HAS NO TEETH
幻惑の死と使途 Illusion Acts Like Magic
ηなのに夢のよう Dreamily in spite of η
目薬αで殺菌します Disinfectant α for the eyesk
ジグβは神ですか Jig β Knows Heaven
キウイγは時計仕掛け Kiwi γ in clockwork
χの悲劇 The Tragedy of χ

四季 春

科学者・真賀田四季。幼くして発現する、真の天才。圧倒的人気のカリスマ、真賀田四季の物語、第1弾。天才科学者・真賀田四季(まがたしき)。彼女は5歳になるまでに語学を、6歳には数学と物理をマスタ、一流のエンジニアになった。すべてを一瞬にして理解し、把握し、思考するその能力に人々は魅了される。あらゆる概念にとらわれぬ知性が遭遇した殺人事件は、彼女にどんな影響を与えたのか。

   天才・真賀田四季にスポットライトをあてた【四季シリーズ】
   上記でご紹介した作品のいずれかを読んだ方はきっとご存知であろう真賀田四季森博嗣さんの作品ファンであり、真賀田四季のファンであるという方もきっと少なくない筈(きっと)。
   ご紹介したシリーズ全てに関連し、尚且つ姿を現さなくとも物語の中で大きな存在感を持つ人物。「すべてがFになる」では29歳でしたが、この【四季シリーズ】では天才真賀田四季の幼少期から「すべてがFになる」のその後の真賀田四季まで書かれています。真賀田四季という天才にどっぷりはまっている方にとっては堪らないシリーズです。

四季 春 The Four Seasons Green Spring
四季 夏 The Four Seasons Red Summer
四季 秋 The Four Seasons White Autumn
四季 冬 The Four Seasons Black Winter

黒猫の三角

一年に一度決まったルールの元で起こる殺人。今年のターゲットなのか、6月6日、44歳になる小田原静子に脅迫めいた手紙が届いた。探偵・保呂草は依頼を受け「阿漕荘」に住む面々と桜鳴六画邸を監視するが、衆人環視の密室で静子は殺されてしまう。

   瀬在丸紅子を探偵役とした【Vシリーズ】。
   あらすじでは保呂草という人物が探偵として出ていますが、その辺りの詳しい話は是非読んでから……。ですがこの保呂草という人物もまた、シリーズには大きく関わってくる人物です。
   先にご紹介した三つのシリーズで馴染み深かった登場人物の名前が跡形も無く消えていますが、何も心配はいりません。全て繋がっています。犀川や西之園、四季をメインとしてご紹介したかったため後回しになってしまいましたが、【Vシリーズ】は【S&Mシリーズ】に次いで二番目に書かれたシリーズです。
   瀬在丸紅子や保呂草は犀川や西之園とも大きな関わりを持ち、また、今シリーズに限らず登場する重要人物です。読み進めるに連れてその関係性が明らかになります。
   「理系ミステリー」ということで割りと突飛で難しいトリックが多い森博嗣さんですが、このシリーズは馴染み深い(?)トリックも多かった印象です。個人的に瀬在丸紅子がめちゃくちゃ好きです。

黒猫の三角 Delta in the Darkness
人形式モナリザ Shape of Things Human
月は幽咽のデバイス The Sound Walks When the Moon Talks
夢・出逢い・魔性 You May Die in My Show
魔剣天翔 Cockpit on Knife Edge
恋恋蓮歩の演習 A Sea of Deceits
六人の超音波科学者 Six Supersonic Scientists
捩れ屋敷の利鈍 The Riddle in Torsional Nest
朽ちる散る落ちる Rot off and Drop away
赤緑黒白 Red Green Black and White

イナイ×イナイ

行方の知れない兄と、凄絶なまでに美しい双子、そして後妻。周囲から時間が消えたような屋敷に今、血腥い風が吹く。黒髪の佳人、佐竹千鶴は椙田探偵事務所を訪れて、こう切り出した。「私の兄を捜していただきたいのです」。双子の妹、千春とともに都心の広大な旧家に暮らすが、兄の鎮夫は母屋の地下牢に幽閉されているのだという。椙田の助手、小川と真鍋が調査に向かうが、謎は深まるばかり――。

   他シリーズにも登場する椙田の探偵事務所が関わる【Xシリーズ】。
   このシリーズも基本的に一冊ごとに事件解決はあるものの、あまりに他シリーズとの関わりが深いため【S&Mシリーズ】や【Gシリーズ】を読んでからをおすすめ致します。読まなくても大丈夫だとは思いますが、読んでからの方が絶対に面白いです。
   トリックとしてはあっさりしたものが多く、評価も割れているような気がしますが、シリーズファンとしてはミステリー小説にプラスアルファの楽しみがあります。
   作中に出て来る椙田はこれまでのシリーズで馴染み深い西之園との関わりもあり、また、読者の間ではいろいろと考察される謎の多い人物でもあります。他シリーズを読んでから【Xシリーズ】を読む方は、きっと椙田の正体に気づく筈…
   作中で繰り広げられるトリックの謎が解ける中、未だ明確にされないシリーズ通しての謎を私達読者自身で考えて楽しめるところがとても魅力的です。

イナイ×イナイ Peekaboo
キラレ×キラレ Cutthroat
タカイ×タカイ Crucifixion
ムカシ×ムカシ Reminiscence
サイタ×サイタ Explosive
ダマシ×ダマシ Swindler

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まとめ

   まだ他にも繋がっているシリーズはありますが、今回はこの5つのシリーズをご紹介させて頂きました。
   以前私が感想として書いた「彼女は一人で歩くのか?」という小説も、【Wシリーズ】として上記5シリーズと関連しています。(※感想ブログはネタバレが含まれますのでご注意下さい。)

   時系列や人物関係が各作品の事件との関わりを持ちながら入り乱れ、なかなか自分の頭の中でまとめることは大変ですが、予想もしないところで物語の繋がりを感じることが出来た時の壮快感が堪らないです。一冊読んではまった方は、きっとどの作品も楽しんで読むことが出来ます。
  基本的にどのシリーズから読んでも大丈夫だとは思いますが、出来れば【S&M】シリーズから。ただ、各シリーズ共通する人物はたくさん出るもののメインとなる人物は変わるので、自分の好きな探偵を探して取り合えず各シリーズ一作目を読んでみるのもいいかも。(駄目かな?)
  因みに私が初めて読んだ森博嗣さんの作品は【四季シリーズ】。シリーズを一通り読み漁った後「すべてがFになる」から読めばよかったのにと思いましたが、【四季シリーズ】から読んでもどっぷり作品にはまり、犀川や西之園の関係性や真賀田四季を追っていることを思うとどこから読んでもはまる人ははまるんだと思います。
  後、内容とは深く関係はありませんが、森博嗣さんの小説の表紙はどれも素敵です。シリーズによってテーマも決まっていて、毎回デザインを楽しみにしています。
  長く長く多く続く森博嗣さんの作品シリーズ。気になった方は、是非一度読んでみて下さい。

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